2014年03月24日

響き合う街で 

今年度も残り少なくなりました.やどかりの里でも法人全体の総括会議を行ったり,1年の活動のまとめとなる所報の準備などが始まっています.
 今年度,障害者権利条約に批准し,障害分野は新たなステージに進もうとしていますが,
そんな中で精神科病床を居住系施設に転換しようという動きがあり,やどかり出版では「響き合う街で」でその問題を特集として取り上げました.長期入院を経てやどかりの里を利用しながら退院され,地域生活を送っている人たちへのインタビューを行いました.7人の方は口々に自由を手に入れた喜びを話してくださっていました.権利条約は障害のある人の特別な権利を求めているものではありませんが,7人が手にしたことも人としての当たり前の権利なのです.この権利を国の乱暴な制度化によって奪われる人たちがいることをもっと真剣に考えるべきだと強く思います・
そして,原稿をお願いした方々からは,単にこの動きに反対するのではなく,具体的な提案もしていただきました.日本は国際協調を大事にする国だといわれています.欧米諸国との大きな乖離をこのままにしてはいけないのです.社会的入院を真の意味でこの国からなくすために,多くの方とこの問題意識を共有したいと思っています.ぜひご一読いただきたい内容です.表紙の絵,この赤色のラインが日本の精神病床を表しています.

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 先週,高知県四万十市に行ってきました.「響き合う街で」の前号に原稿を寄せていただいた四万十市の心の健康相談センターが企画する「四万十市若者等支援地域連絡協議会」の研修会に呼んでいただいたのです.四万十市は,高知空港から100キロ余り,車だと約2時間半ほどかかります.今回はレンタカーを借りて,現地まで行きました.途中連翹(れんぎょう)や辛夷(こぶし)の花が満開で,関東よりも少し春が進んでいるような気がしました.
四万十市は中村市の時代から何度か伺う機会がありましたが,その御縁の最初は昨年亡くなられた鈴木文熹先生との調査活動でした.地域づくり運動全国交流集会という緩やかにつながる組織を作り,やどかりの里もそこに加わっています.IMG_3615.JPG
 
2010年に四万十市で「こころの健康政策構想会議」のお話をさせていただいたことがあり,その時の研修会を開催した実行委員会を継続されており,その流れの中で福祉事務所の中に心の健康相談センターを設置されたのです.(詳細は響き合う街で67号,2013年11月発行をご覧ください)
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 こころの健康政策構想会議の提言の中でもとりわけ重要だと考えていたことを四万十市で実際に取り組まれていることは,とてもうれしくて,多くの人にもっと知っていただきたいと思いました.
 この相談センターが福祉事務所に設置されていることもとてもいいなあと思いました.そして,市民誰もに開かれた相談窓口になっています.もちろん障害者手帳の有無は問われませんし,「心の健康」について全般的に対応していくセクションになっています.まだ,始まったばかりの取り組みですが,四万十市に学び多くの自治体でこうした取り組みが広がっていることが期待されます.
この「心の健康相談センター」は,四万十市若者等支援地域連絡協議会の事務局も担っており,この協議会が幅広い関係者で組織されていることも四万十市の取り組みの大きな特徴だと思いました.総合相談窓口があったとしても,その機関ですべてが解決できるわけではありません.地域の中に横糸のつながりがはりめぐらされていくことで,心の健康相談センターの役割が果たせていくような仕組みになっているように思いました.

posted by 増田一世 at 09:57| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月09日

久しぶりです ブログ再開します

 前回の書き込みが9月でしたから,5か月もたってしまいました.一度お休みすると,書き込むのが少し億劫になります.お伝えしたいことはその時々にあったのですが……
 昨日は驚くような雪でしたね.我が家の玄関前です.しんしんと雪は降り積もり……
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 童心に返り雪だるまを作ってみました.
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今日はとても暖かく,どんどん雪解けしていきますが,今朝近所の人と一緒に家の前の道路の雪かきをしました.そして,都知事選の投票に近くの中学校に行ったら,中学生が学校前の雪かきをしてくれていて,ちょっとうれしかったです.

 さて,今年度は3回にわたって実践研修会を開催しました.第1回目が高齢障害者を支えることをテーマにし,第2回は働く,第3回は支えるがテーマでした.そして,今回の大きな特徴は鴻沼福祉会の力を借りて,互いの実践を出し合いながら進めてきたところにあります.重なり合うところ,それぞれの特徴が出るところ,とても手ごたえのある研修会でした.今は,この3回の研修会を何とか活字に残せないかと考えているところです.
 実践は生きていますので,常に変化します.でも,時には時間を止めて点検し,意味づけを行い,先の見通しを得ることが大事なのだと思うのです.今週の土日,2日間を使って,やどかりの里の総括会議を開きます.もちろんこの3回にわたる実践研修会での学びや気づきも含めて議論をすることになります.この間のさまざまな社会の動きも共有しつつ,kの1年の活動を振り返り,2日目はこれからについて話し合いをすることになります.
 
 久しぶりなので,もう1つお伝えしたのが,「響き合う街で」の2月号のことです.昨年暮れからいろいろ騒がれている,精神科病床を介護施設やグループホームに転換したらといういわゆる病床転換問題があります.社会的入院問題をこれによって一挙に解決しようとする動きがあります.長いこと入院されていた方は,気づかないうちに退院してしまっているなんてことが起こってしまいそうです.「響き合う街で」では,看板を掛けかえるという安易な方法ではなく,社会的入院を根本的に解決していくことを考えていきます.
 やどかりの里には社会的入院を経て,退院されてきた方がたくさんいらっしゃいます.この中の数人にやどかりの里の職員がインタビューし,なぜ長期入院になってしまったのか,退院されてきたプロセス,退院後の暮らしぶりをまとめてくれています.胸に迫るものがあります.退院することが怖くなっている人たちも多く,退院を決意するまでにとても時間が必要だったようです.こういく声をまず共有していただきたいと思い,企画しています.ぜひ多くの皆さんにお読みいただければと思っています.
 
posted by 増田一世 at 16:54| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月09日

響き合う街で 66号 発行されました

年に4回発行される本誌ですが,今回は「生活保護と障害のある人」を特集しました.
あまりにも乱暴な生活扶助基準の切り下げの問題,これから始まる生活保護をめぐるさまざまな動き……
本誌として取り組む最初の一歩にしたいと思い斉藤なを子さんに責任編集者となっていただき,進めてきました.
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今回は,生活保護をめぐってどんな背景があったのか,障害のある人への影響などを考える企画になりました.明日は,きょうされん埼玉支部で緊急の生活保護についての学習会が開催されます.
私も明日参加して,いっしょに考えていきたいと思っています.
生活保護は国から恩恵ではなく,国民の権利なのだということを多くの人たちと共有していくことが大切だと思っています.そして,障害分野を超えてつながっていくことが大切だと思います.

昨日からマスコミはオリンピック一色です.本当はもっと報道しなくてはならない大切なことがあるのではないのか……と思うのは私だけでしょうか.
だからこそ,マスコミが伝えない本当に大切なことを伝え続ける出版社でありたいと思います.

今号には7月24日に逝去された野中猛先生の講演録も掲載しています.2月にお話しいただいたことをテープ起こしし原稿を整理し,先生にチェックしていただいていたものです.
がん患者としての体験と精神保健活動の実践者としてのこれまでの問題意識を重ね合わせて語っています.改めて多くの方々に読んでいただきたい内容です.

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次回のブログでは,11月29日に開催するやどかりの里のコンサートについて(すでにHPにはアップされていますが)つぶやいてみたいなあと思っています.


posted by 増田一世 at 11:31| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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